『業務委託契約における注意点』


先日、建設業の会社様から「労基署から呼び出しが入ったのだが、どうすれば良いか?」とのご相談がありました。事情を聞いた所、業務委託先の方が残業代を請求すべく労基署に相談に行ったらしいとの事でした。

電話でお話を聞きながらも、私の頭の中では「??」がいっぱいでした。

  • 従業員ではない業務委託先がなぜ残業代を請求してくるのか?
  • なぜ労基署が呼び出しをしてきたのか?(何を調査・指導するつもりなのか?)

そこで、念のため、業務委託契約書の内容を見せて欲しいとお願いした所、「契約書は無い」との回答でした。もしかして、と思い、更に詳細を確認してみた所、

  • 作業日数に応じて1日あたりの単価を掛けて支払いをしている
  • 出勤時間や退勤時間を記録している
  • 日々の作業内容について指示命令を出している
  • 会社名の名刺を作成し、委託先に渡している

といった対応をしている事が分かりました。

恐らく労基署としては、このような実態を考慮した結果、(見かけ上は業務委託契約であっても)労働者性が認められるとして、指導の為に呼び出しをしてきたのだと推測しました。

会社様には、業務委託契約においては上記対応をする事はNGであり、契約書の整備と委託先管理方法の改善について早急に対応が必要である旨をご説明させて頂きましたが、労基署からの呼び出しを免れる事は出来ない為、私も同席した上で、必要な対応をさせて頂く事といたしました。

後日労基署に同席した所、監督官からは私が想定していた内容で指摘がなされ、結果として、過去に遡って超過勤務時間に応じた割増賃金を計算し、1ヶ月以内に支払うよう、是正勧告書が交付されました。

※その後、私もご支援させて頂き、割増賃金の支払いと是正報告書の作成を済ませ、労基署に報告しました。また、業務委託契約書のひな形を作成し、管理上の注意点についてもご説明させて頂きました。

業務委託先を、都合の良い時に自由に利用できる社外従業員のような存在として取り扱っている企業様があるかも知れませんが、今回のように、労働者性が認められてしまうケースもある為、注意が必要です。

業務委託契約を適切に運営できているか疑問に思われた場合には、ぜひ当事務所にご相談下さい。

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