『雇用調整助成金について思うこと』

雇用調整助成金に関しては度々報じられていますが、国会議員や報道番組のコメンテーターなどの発言を見ていると、次のような発言が見受けられます。

  • 休業させた従業員に給料の60%以上補償をすれば、中小企業の場合100%助成される
  • 申請書や添付書類は大きく簡素化され、事業主が申請するハードルが下がっている
  • 申請から支給までの期間は2週間から1カ月以内に迅速に行われる

もし、事業主の方が助成金を上記の内容で認識しているとすれば、少々危険な気がします。
もちろん、定められた要件を満たした上で正しく申請すれば、規定の助成金を受給することができると思います。しかし、問題なのはその内容です。

まず、金額ですが、休業補償した額を100%助成されるのは、ある特定の要件を満たした場合だけであります。

また、確かに申請書類は大幅に簡素化されましたが、就業規則や賃金台帳、出勤簿など添付すべき書類は依然として多く、労務管理にあまり詳しくない事業主の方であれば書類準備が難しく相当の労力を要すると思われます。

さらに、申請から受給までの期間が2週間から1カ月というのはあくまでも目標値であり、実現の可能性には甚だ疑問が残ります。

申請要件などは今後さらに緩和される可能性はありますが、少なくとも現時点においては多くの事業主にとって使いやすい制度とは言い難いのが雇用調整助成金の姿だと思います。

YouTubeで調べていただければ、多くの社労士の方が解説動画を出しているので、ここでは細かい説明は省略致しますが、社労士の立場で1つ注意していただきたいと思うのは、

『雇用調整助成金を当てにした資金繰りをする事は危険である』ということです。

例えば、「従業員に休業手当を支払った翌月に助成金が入金するから、そのお金を使って翌月の休業手当を支払えば良い」といった資金繰りは成り立たないと考えた方が良いでしょう。休業手当の支給が困難な場合には、速やかに無利子無担保の融資を申請するなどの手当てをすべきと思います。「助成金とは予定より遅く入金するものである」くらいの気持ちで資金繰りをしていただければと思います。

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