『最高裁判決について思うこと』

先月、同一労働同一賃金に関連した最高裁判決が2つありました。ニュースでも大きく取り扱われたので、ご存知の方も多いと思いますが、本日はこれについて個人的な思いを述べたいと思います。

今回、判決があった事件名と判決における注目点は以下となります。

⦁ 大阪医科薬科大学事件
注目点:賞与を正職員には支給し有期雇用労働者には支給しないことは不合理ではない
⦁ メトロコマース事件
注目点:退職金を正社員には支給し有期雇用労働者には支給しないことは不合理ではない

一見すると、「賞与や退職金については、正社員は支給・非正規社員は不支給という扱いをしても違法では無い」という内容に見えます。しかし、結論だけを見て判断してしまうのはいささか危険に感じます。

そこで、判決に至った経緯をよく見てみますと、

・正社員と有期雇用労働者との間の労働条件の相違が賞与/退職金の支給に係るものであったとしても、それが不合理と認められるものに当たる場合はあり得る
・その判断に当たっては、当該使用者における賞与/退職金の性質や目的を踏まえて、職務の内容、職務の内容・配置の変更範囲、その他の事情を考慮することにより、不合理か否かを検討すべき

となっており、つまり、今回の判決では「不合理ではない」という事になったけれども、賞与や退職金の性質や目的といった個別事情を考慮してケースバイケースで判断するという意味であり、『今回の判決が全てのケースに当てはまる模範解答という訳では無い』という事に注意すべきと思います。

さらに、パートタイム・有期雇用労働法第14条では、労働条件の違いに関する理由の説明が義務化されておりますので、合理的な説明が求められます。従いまして、基本的には、賞与や退職金であっても、待遇差を無くす為の対応が求められていると考えて良いでしょう。

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